キーワード 読書について69-「はじめて学ぶ日本児童文学史」鳥越信 ミネルヴァ書房 2001年(3) /「たどり来し道」会田雄次 新潮社 1996年 ①(上)【再々掲載】
今日は5月11日、土曜日です。
今回は5月1日に続いて、
「キーワード 読書について」69回目、鳥越信さんの
「はじめて学ぶ日本児童文学史」の紹介 3回目です。
出版社の案内には、
「明治維新から昭和期にかけての日本児童文学の歩みを最も初期の時代
(草創期)を起点に、科学読み物・知識読み物の歴史およびキリスト教
児童文学の歴史、外国作品の歴史と幅広い視点から考察する。
【ここがポイント!!】
◎ 日本における児童文学研究の最新成果をとりこむ
◎ 好戦的・侵略的児童文学の解明を試みる
◎ 1868年から約120年間を6部に分ける」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「創作児童文学の出発は不平等条約から。1886年のノルマントン号事件
により国粋主義的民族主義的雰囲気が生まれたことによる」
・「少ない購読可能層」
・「日露戦争前後に少女向けのものも生まれた。北田薄氷が先駆者」
・「『口演童話」の流行。明治期には、お伽口演として。話者は童話家で、
全国各地に職業的童話家もいた」
もう一つ、再々掲載になりますが、会田雄次さんの
「たどり来るし道」①を載せます。
☆キーワード 読書について69-「はじめて学ぶ日本児童文学史」鳥越信 ミネルヴァ書房 2001年(3)

<お伽噺の時代>
◇時代思潮
新局面
「少年園」1888年
「日本之少年」1889年
「小国民」1889年
「少年文庫」1889年
「少年文武」1890年
1890年「教育勅語」
1891年~
「少年文学」叢書 全32巻
第一巻 「こがね丸」大ベストセラー
「少年世界」1895年
「幼年世界」1900年
「少女世界」1906年
「幼年画報」1906年
博文館
金滝堂書店
「少年界」「少女界」1902年
実業之日本社
「日本少年」1906年 「少女の友」1908年
お伽噺と各種古典や民話・伝説
1900年代「立川文庫」シリーズ
◇創作児童文学の出発
不平等条約
1886年ノルマントン号事件 国粋主義的民族主義的雰囲気
教育勅語
→ 徳育・修養
1891年ごろ
「少年文学」叢書1891年~
巌谷小波「こがね丸」
それ以前は三輪弘志「少年之玉」
◎ 少ない購読可能層
日清戦争
博文館「少年世界」巌谷小波編集長
日露戦争前後
少女向けのものも 北田薄氷が先駆者
「少年之玉」三輪弘志 鬼頭平兵衛1896年
「こがね丸」巌谷小波 博文館 1891年
◎ ふじの山,お伽歌劇,口演童話,昔話,軽妙洒脱,楽しませる
しかし,類型的,善悪が明快
「先生様々」北田薄氷 少年世界1898年5月
本名尊子
少女小説の先駆者 継子いじめ
口演童話
明治期 - お伽口演
話者は童話家
- 全国各地に職業的童話家もいた
子供会・学校・日曜学校で
演劇
中川霞城 児童劇
「お伽芝居」
-「対話」
詩歌
「小学唱歌集」三編(1881~1884)
田村虎蔵の尽力で言文一致体唱歌
→ 「幼年唱歌」全10編1900~1902
「尋常小学唱歌」1905年
「高等小学唱歌」1906年
→ 文部省「尋常小学読本唱歌」
岩野泡鳴 160編 → 近代童話(大正期)
☆「たどり来し道」会田雄次 新潮社 1996年 ①(上)【再々掲載】
[出版社の案内]
志を消失し、金権万能の信者になった政治家。醜悪な馬脚を現した経済界。
呆然自失の国民。もはや、日本は国家ではなくなったのか…。この衰亡を
食いとめることは出来るのか。今こそ歴史家の言葉に耳傾ける時が来た。

◇西田幾多郎
「自分の生涯と言えば,人生の前半は黒板を前にして座り,後半は黒板
を背にして立った。それだけのことだ。」
◇平等
□日本ほど平等・同質の国は珍しい
同じものを食べ,使う言葉も万人同じ
地方と中央の差別もなく,着物も人の顔さえ大差ない
= 豪華な喫茶店に労働者も職人も気にせずに入れる
逆に高額所得者が平気で場末の酒場の暖簾をくぐる
□会田氏幼少時
極端な貧困と驕奢
極端な新奇と固随
極端な舶来と国産
極端な上等品と安物
極端な片仮名と草書
□日本人の特質
◎ 権力,金力,地位など背景を持つ人間には卑屈なほど従順
- それを失い危害を加えても報復の心配のない相手にはこの
上なく残忍・酷薄となる
□日本軍
初年兵
= いたぶりと使役の対象
□昭和43年 「文化会議」
□昭和54年 京都大学定年退官
若者や学生に絶望
◎「苦労知らずの若い人と話すのが嫌になった」
→ 著作専念
□日本はこのままでは崩壊・衰退する
□ 少し貧乏でも良い,独立自尊の国民による自主自立の国家としてまじ
めに矜持を抱きつつ,こつこつ生きていける存在にすべく国民が目覚め
てくれないものか!(1994年8月)
◇急がぬ生き方
□ヨーロッパは青壮年だけの世界
子供は厳しく訓練される
「理性 知識 + 自己抑制」
~ 社会ルール
~ 初めて人間として
→ ◎ 習得の度合いによって「自由」が与えられる
↑↓
□日本はその反対
「人間は生まれ落ちるなり人間」
◎ 理性が発達していないから自己制御能力を持たない
→ 子供には完全な自由
= 本質的な責任は問われない
◎ その代わり長ずるに従って社会のしきたり,人間としての
心得が教えられる。
◎ 大人になるにつれ規律が加えられ責任が問われて来る
- 日本の小学校はやかましい
□ヨーロッパ
「未だ人間でない子供は厳しく大人社会のルールに合うべく規制され
ていく」
◎ 家庭でも
そういった躾を持つ学校であって初めて「中流家庭」
□取り残されまいとする老人たち
ヨーロッパ
◎「老人は人間の腐ったもので,もう人間ではない」
- ヨーロッパは人間としての老廃物である老人など早く死
んでしまえという世界
欧米は若さと誇示していないと邪魔者扱いされる世界
= そのために涙ぐましい努力
□「おばあちゃんの智慧」を大事にする日本
◎稲作
= 苦しい姿勢・細かな配慮・忍耐
筋力集中は要らない
- 女も男も対等
◎老人の親身な労働の方がずっと効率が良かった
◎稲作の豊凶は気候に大きく支配される
◎気象も短期間に激変
= 経験がものを言う
◎日本では老人が大切にされる
◎老人を水準とした社会
- 食事も老人向き
□積極的な意味を持った隠居
◎現役引退が早い
現役
① 老人の労働も不可欠な実労働
→農業指導
② 孫の世話や教育
「おじいさんは山へ柴刈りに,おばあさんは川へ洗濯に」
◎ヨーロッパは万年飢饉
余裕なし
子供はできるだけ早く次々に出し,親が老齢になってからの子
に跡を継がす
= 末子相続
◎親子の年齢離れすぎる
老女
- 魔女として
◎隠居
= リタイアでなく積極的な意味
・村の行事
・村の政治
~ 隠居しても日本では威張れる
※ かなり違う老人期を持っていた日本は,必ずしもヨーロッパの真
似をする必要はない
□道徳訓好き輩出の風土
道徳訓好きは田舎者
□「封建道徳 + 近代化」の奇蹟
□老後のために働く日本特有の思想
今回は5月1日に続いて、
「キーワード 読書について」69回目、鳥越信さんの
「はじめて学ぶ日本児童文学史」の紹介 3回目です。
出版社の案内には、
「明治維新から昭和期にかけての日本児童文学の歩みを最も初期の時代
(草創期)を起点に、科学読み物・知識読み物の歴史およびキリスト教
児童文学の歴史、外国作品の歴史と幅広い視点から考察する。
【ここがポイント!!】
◎ 日本における児童文学研究の最新成果をとりこむ
◎ 好戦的・侵略的児童文学の解明を試みる
◎ 1868年から約120年間を6部に分ける」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「創作児童文学の出発は不平等条約から。1886年のノルマントン号事件
により国粋主義的民族主義的雰囲気が生まれたことによる」
・「少ない購読可能層」
・「日露戦争前後に少女向けのものも生まれた。北田薄氷が先駆者」
・「『口演童話」の流行。明治期には、お伽口演として。話者は童話家で、
全国各地に職業的童話家もいた」
もう一つ、再々掲載になりますが、会田雄次さんの
「たどり来るし道」①を載せます。
☆キーワード 読書について69-「はじめて学ぶ日本児童文学史」鳥越信 ミネルヴァ書房 2001年(3)

<お伽噺の時代>
◇時代思潮
新局面
「少年園」1888年
「日本之少年」1889年
「小国民」1889年
「少年文庫」1889年
「少年文武」1890年
1890年「教育勅語」
1891年~
「少年文学」叢書 全32巻
第一巻 「こがね丸」大ベストセラー
「少年世界」1895年
「幼年世界」1900年
「少女世界」1906年
「幼年画報」1906年
博文館
金滝堂書店
「少年界」「少女界」1902年
実業之日本社
「日本少年」1906年 「少女の友」1908年
お伽噺と各種古典や民話・伝説
1900年代「立川文庫」シリーズ
◇創作児童文学の出発
不平等条約
1886年ノルマントン号事件 国粋主義的民族主義的雰囲気
教育勅語
→ 徳育・修養
1891年ごろ
「少年文学」叢書1891年~
巌谷小波「こがね丸」
それ以前は三輪弘志「少年之玉」
◎ 少ない購読可能層
日清戦争
博文館「少年世界」巌谷小波編集長
日露戦争前後
少女向けのものも 北田薄氷が先駆者
「少年之玉」三輪弘志 鬼頭平兵衛1896年
「こがね丸」巌谷小波 博文館 1891年
◎ ふじの山,お伽歌劇,口演童話,昔話,軽妙洒脱,楽しませる
しかし,類型的,善悪が明快
「先生様々」北田薄氷 少年世界1898年5月
本名尊子
少女小説の先駆者 継子いじめ
口演童話
明治期 - お伽口演
話者は童話家
- 全国各地に職業的童話家もいた
子供会・学校・日曜学校で
演劇
中川霞城 児童劇
「お伽芝居」
-「対話」
詩歌
「小学唱歌集」三編(1881~1884)
田村虎蔵の尽力で言文一致体唱歌
→ 「幼年唱歌」全10編1900~1902
「尋常小学唱歌」1905年
「高等小学唱歌」1906年
→ 文部省「尋常小学読本唱歌」
岩野泡鳴 160編 → 近代童話(大正期)
☆「たどり来し道」会田雄次 新潮社 1996年 ①(上)【再々掲載】
[出版社の案内]
志を消失し、金権万能の信者になった政治家。醜悪な馬脚を現した経済界。
呆然自失の国民。もはや、日本は国家ではなくなったのか…。この衰亡を
食いとめることは出来るのか。今こそ歴史家の言葉に耳傾ける時が来た。

◇西田幾多郎
「自分の生涯と言えば,人生の前半は黒板を前にして座り,後半は黒板
を背にして立った。それだけのことだ。」
◇平等
□日本ほど平等・同質の国は珍しい
同じものを食べ,使う言葉も万人同じ
地方と中央の差別もなく,着物も人の顔さえ大差ない
= 豪華な喫茶店に労働者も職人も気にせずに入れる
逆に高額所得者が平気で場末の酒場の暖簾をくぐる
□会田氏幼少時
極端な貧困と驕奢
極端な新奇と固随
極端な舶来と国産
極端な上等品と安物
極端な片仮名と草書
□日本人の特質
◎ 権力,金力,地位など背景を持つ人間には卑屈なほど従順
- それを失い危害を加えても報復の心配のない相手にはこの
上なく残忍・酷薄となる
□日本軍
初年兵
= いたぶりと使役の対象
□昭和43年 「文化会議」
□昭和54年 京都大学定年退官
若者や学生に絶望
◎「苦労知らずの若い人と話すのが嫌になった」
→ 著作専念
□日本はこのままでは崩壊・衰退する
□ 少し貧乏でも良い,独立自尊の国民による自主自立の国家としてまじ
めに矜持を抱きつつ,こつこつ生きていける存在にすべく国民が目覚め
てくれないものか!(1994年8月)
◇急がぬ生き方
□ヨーロッパは青壮年だけの世界
子供は厳しく訓練される
「理性 知識 + 自己抑制」
~ 社会ルール
~ 初めて人間として
→ ◎ 習得の度合いによって「自由」が与えられる
↑↓
□日本はその反対
「人間は生まれ落ちるなり人間」
◎ 理性が発達していないから自己制御能力を持たない
→ 子供には完全な自由
= 本質的な責任は問われない
◎ その代わり長ずるに従って社会のしきたり,人間としての
心得が教えられる。
◎ 大人になるにつれ規律が加えられ責任が問われて来る
- 日本の小学校はやかましい
□ヨーロッパ
「未だ人間でない子供は厳しく大人社会のルールに合うべく規制され
ていく」
◎ 家庭でも
そういった躾を持つ学校であって初めて「中流家庭」
□取り残されまいとする老人たち
ヨーロッパ
◎「老人は人間の腐ったもので,もう人間ではない」
- ヨーロッパは人間としての老廃物である老人など早く死
んでしまえという世界
欧米は若さと誇示していないと邪魔者扱いされる世界
= そのために涙ぐましい努力
□「おばあちゃんの智慧」を大事にする日本
◎稲作
= 苦しい姿勢・細かな配慮・忍耐
筋力集中は要らない
- 女も男も対等
◎老人の親身な労働の方がずっと効率が良かった
◎稲作の豊凶は気候に大きく支配される
◎気象も短期間に激変
= 経験がものを言う
◎日本では老人が大切にされる
◎老人を水準とした社会
- 食事も老人向き
□積極的な意味を持った隠居
◎現役引退が早い
現役
① 老人の労働も不可欠な実労働
→農業指導
② 孫の世話や教育
「おじいさんは山へ柴刈りに,おばあさんは川へ洗濯に」
◎ヨーロッパは万年飢饉
余裕なし
子供はできるだけ早く次々に出し,親が老齢になってからの子
に跡を継がす
= 末子相続
◎親子の年齢離れすぎる
老女
- 魔女として
◎隠居
= リタイアでなく積極的な意味
・村の行事
・村の政治
~ 隠居しても日本では威張れる
※ かなり違う老人期を持っていた日本は,必ずしもヨーロッパの真
似をする必要はない
□道徳訓好き輩出の風土
道徳訓好きは田舎者
□「封建道徳 + 近代化」の奇蹟
□老後のために働く日本特有の思想
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