「お正月」 田辺一邑 『紙つぶて』② 中日新聞コラム欄 /「日本民俗学のエッセンス」瀬川清子・植松明石編 ペリカン社 1994年 ②【再掲載 2017.9】
今日は3月14日、金曜日です。
今回は、11日に続いて、講談師 田辺一邑さんの
「お正月」(中日新聞コラム欄より)を載せます。
お正月から随分経ちました。
元旦には初日の出を拝みに前浜に大勢の人が集まるのは変わりません。
子どもにとって、楽しいことがいっぱい詰まっていたお正月。
正月の年中行事が少しずつ変わっていくことを懐かしく、また寂しく感
じます。
浜松市出身の田辺一邑さんは、現在、真打ちとして活躍されています。
もう一つ、再掲載になりますが、瀬川清子さん、植松明石さん編
「日本民俗学のエッセンス」②を載せます。
日本の民俗学の歴史を教えてくれました。
☆「お正月」 田辺一邑 『紙つぶて』② 中日新聞コラム欄
明けましておめでとうございます」と言うよりもう「寒中お見舞い申
し上げます」ですね。
これから半年間火曜日を担当します、女でも「こうだんし」田辺一鶴
の弟子で一邑(いちゆう)と申します。読みにくい名ではございますがど
うぞよろしくお願いいたします。
年末年始はどのようにお過ごしでしたか?
私たち寄席芸人にとって初席は昔からかき入れどき。
でもコンビニもスーパーも元旦営業当たり前の昨今、「お正月」とい
う特別感もだいぶ薄れてきたように思います。
私が子どものころ(昭和40年代です)、年末年始は常ならぬ行事がめ
じろ押しでした。
まず28日には餅つき、しかも臼と杵で。
つくのは父と祖父、手返しは母か祖母、子どもは、のす役です。
29日は大掃除。
畳まで上げてやっていましたよね。下から出てきた古い新聞を思わず
読んでしまったりして。
30日からはおせち作り。
蒟蒻の真ん中に切れ目を入れてくるんと返し手綱にするのが子どもの
役目。
レコード大賞と紅白歌合戦を見て、ゆく年くる年除夜の鐘。
眠い目をこすりながら前浜と呼んでいた遠州灘の海岸まで初日の出を
拝みに。
たくさんの人がたき火で暖を取りながら今か今かと待ち構えていまし
たっけ。
帰って来ると届いている分厚い新聞を読み、「お餅はいくつ?」お雑
煮を食べて、それから寝ました。
2日は…。
おっといけない、昔話は年を取った証拠なり。
先のことを考えましょう。
「元日や今年も来るぞ大みそか」 (講談師=浜松市出身)
2013.1.8 中日新聞夕刊
☆「日本民俗学のエッセンス」瀬川清子・植松明石編 ペリカン社 1994年 ②【再掲載 2017.9】

[出版社の案内]
本書は、日本民俗学の研究史上、重要な研究者18人をえらんで、その研
究と方法を示し、それを中心に、日本民俗学の成立、展開の理解にせまろ
うとしたものである。
◇日本民俗学の胎動 植松明石
1.土俗研究
□明治17(1884)年
坪井正五郎中心に人類学会「人類学報告」
土俗学
= エスノロジー
= 未開社会の土俗と同様
渡瀬荘三郎 三宅米吉 出口米吉
□明治26(1893)年
鳥居龍蔵,中山笑らにより「土俗会」結成
新年 贈答の風習 若者組 食制 年中行事
2.郷土研究
□明治末年
日本文化の伝統の見直しと地方への関心
郡誌,町村誌,郷土誌が相次いで出版
明治43(1910)年~大正8年末
「郷土会」新渡戸稲造,柳田国男も
石黒忠篤(農政),木村修三(農政),正木助次郎(人文地理)
牧口常三郎(人文地理,教育思想家,創価学会創設者)
小野武夫(農政),小田内通敏(人文地理),十時弥(社会)
→ 「郷土研究」「郷土会記録」
□柳田国男
「後狩詞記」(明治42 1909)
「石神問答」(明治43 1910)
「遠野物語」(明治43 1910)
「時代と農政」(明治43 1910)
その中心は農政学
□大正2(1913)年 ~大正6年3月
雑誌「郷土研究」
柳田国男 + 高木敏雄(神話学者)
日本の民族文化の究明を目的
柳田国男には20以上のペンネーム
他に折口信夫,中山太郎,早川孝太郎
南方熊楠との論争
□明治45(1912)年
石橋臥波「日本民俗学会」坪井,三宅,白鳥と
大正2(1913)年 機関誌「民俗」~大正4年
□大正7(1918)年
折口信夫「土俗と伝説」 ~1919
喜田貞吉「民族と歴史」 ~1923末 → 「歴史地理」に
アチックミューゼアムの動きも注目
大正10(1921)年 渋沢敬三
物質を通しての文化研究を提唱
3.日本民俗学の胎動
□大正14(1925)年
「民族」
ナショナルなエスノロジー 個別的文化研究
←→ 南方熊楠 共通普遍の原理を求める
〇折口信夫
民俗学を独立の学問とは認めず,古代文化究明のための一つ
の方法と考えている
〇柳田国男
自身の直接の観察に重きを置く
→ 現実に存在する伝承資料の記録
= 共通解釈の場
□大正14(1925)年11月
雑誌「民族」発刊
柳田国男,石田幹之助,田辺寿利、奥平武彦,有賀喜左右衛門,
岡正雄
日本民族の過去の生活の究明
学問の経世済民
~ 昭和4(1929)年 4巻3号で休刊
→ 「民俗学談話会」 - 雑誌「民俗学」
□昭和10(1935)年 「民族学研究」
関連雑誌
「民俗芸術」昭和3年
「旅と伝説」昭和3年
「郷土」昭和5年
「方言」昭和6年
「社会経済史学」昭和6年
「ドルメン」昭和7年
「嶋」昭和8年
論文等
折口信夫「古代研究」S4
中山太郎「日本民俗学」S5,6
柳田国男「聟入考」S4 「蝸牛考」S4
早川孝太郎「花祭り」S5
柳田国男「郷土生活の研究法」S10 「民間伝承論」S8
今回は、11日に続いて、講談師 田辺一邑さんの
「お正月」(中日新聞コラム欄より)を載せます。
お正月から随分経ちました。
元旦には初日の出を拝みに前浜に大勢の人が集まるのは変わりません。
子どもにとって、楽しいことがいっぱい詰まっていたお正月。
正月の年中行事が少しずつ変わっていくことを懐かしく、また寂しく感
じます。
浜松市出身の田辺一邑さんは、現在、真打ちとして活躍されています。
もう一つ、再掲載になりますが、瀬川清子さん、植松明石さん編
「日本民俗学のエッセンス」②を載せます。
日本の民俗学の歴史を教えてくれました。
☆「お正月」 田辺一邑 『紙つぶて』② 中日新聞コラム欄
明けましておめでとうございます」と言うよりもう「寒中お見舞い申
し上げます」ですね。
これから半年間火曜日を担当します、女でも「こうだんし」田辺一鶴
の弟子で一邑(いちゆう)と申します。読みにくい名ではございますがど
うぞよろしくお願いいたします。
年末年始はどのようにお過ごしでしたか?
私たち寄席芸人にとって初席は昔からかき入れどき。
でもコンビニもスーパーも元旦営業当たり前の昨今、「お正月」とい
う特別感もだいぶ薄れてきたように思います。
私が子どものころ(昭和40年代です)、年末年始は常ならぬ行事がめ
じろ押しでした。
まず28日には餅つき、しかも臼と杵で。
つくのは父と祖父、手返しは母か祖母、子どもは、のす役です。
29日は大掃除。
畳まで上げてやっていましたよね。下から出てきた古い新聞を思わず
読んでしまったりして。
30日からはおせち作り。
蒟蒻の真ん中に切れ目を入れてくるんと返し手綱にするのが子どもの
役目。
レコード大賞と紅白歌合戦を見て、ゆく年くる年除夜の鐘。
眠い目をこすりながら前浜と呼んでいた遠州灘の海岸まで初日の出を
拝みに。
たくさんの人がたき火で暖を取りながら今か今かと待ち構えていまし
たっけ。
帰って来ると届いている分厚い新聞を読み、「お餅はいくつ?」お雑
煮を食べて、それから寝ました。
2日は…。
おっといけない、昔話は年を取った証拠なり。
先のことを考えましょう。
「元日や今年も来るぞ大みそか」 (講談師=浜松市出身)
2013.1.8 中日新聞夕刊
☆「日本民俗学のエッセンス」瀬川清子・植松明石編 ペリカン社 1994年 ②【再掲載 2017.9】

[出版社の案内]
本書は、日本民俗学の研究史上、重要な研究者18人をえらんで、その研
究と方法を示し、それを中心に、日本民俗学の成立、展開の理解にせまろ
うとしたものである。
◇日本民俗学の胎動 植松明石
1.土俗研究
□明治17(1884)年
坪井正五郎中心に人類学会「人類学報告」
土俗学
= エスノロジー
= 未開社会の土俗と同様
渡瀬荘三郎 三宅米吉 出口米吉
□明治26(1893)年
鳥居龍蔵,中山笑らにより「土俗会」結成
新年 贈答の風習 若者組 食制 年中行事
2.郷土研究
□明治末年
日本文化の伝統の見直しと地方への関心
郡誌,町村誌,郷土誌が相次いで出版
明治43(1910)年~大正8年末
「郷土会」新渡戸稲造,柳田国男も
石黒忠篤(農政),木村修三(農政),正木助次郎(人文地理)
牧口常三郎(人文地理,教育思想家,創価学会創設者)
小野武夫(農政),小田内通敏(人文地理),十時弥(社会)
→ 「郷土研究」「郷土会記録」
□柳田国男
「後狩詞記」(明治42 1909)
「石神問答」(明治43 1910)
「遠野物語」(明治43 1910)
「時代と農政」(明治43 1910)
その中心は農政学
□大正2(1913)年 ~大正6年3月
雑誌「郷土研究」
柳田国男 + 高木敏雄(神話学者)
日本の民族文化の究明を目的
柳田国男には20以上のペンネーム
他に折口信夫,中山太郎,早川孝太郎
南方熊楠との論争
□明治45(1912)年
石橋臥波「日本民俗学会」坪井,三宅,白鳥と
大正2(1913)年 機関誌「民俗」~大正4年
□大正7(1918)年
折口信夫「土俗と伝説」 ~1919
喜田貞吉「民族と歴史」 ~1923末 → 「歴史地理」に
アチックミューゼアムの動きも注目
大正10(1921)年 渋沢敬三
物質を通しての文化研究を提唱
3.日本民俗学の胎動
□大正14(1925)年
「民族」
ナショナルなエスノロジー 個別的文化研究
←→ 南方熊楠 共通普遍の原理を求める
〇折口信夫
民俗学を独立の学問とは認めず,古代文化究明のための一つ
の方法と考えている
〇柳田国男
自身の直接の観察に重きを置く
→ 現実に存在する伝承資料の記録
= 共通解釈の場
□大正14(1925)年11月
雑誌「民族」発刊
柳田国男,石田幹之助,田辺寿利、奥平武彦,有賀喜左右衛門,
岡正雄
日本民族の過去の生活の究明
学問の経世済民
~ 昭和4(1929)年 4巻3号で休刊
→ 「民俗学談話会」 - 雑誌「民俗学」
□昭和10(1935)年 「民族学研究」
関連雑誌
「民俗芸術」昭和3年
「旅と伝説」昭和3年
「郷土」昭和5年
「方言」昭和6年
「社会経済史学」昭和6年
「ドルメン」昭和7年
「嶋」昭和8年
論文等
折口信夫「古代研究」S4
中山太郎「日本民俗学」S5,6
柳田国男「聟入考」S4 「蝸牛考」S4
早川孝太郎「花祭り」S5
柳田国男「郷土生活の研究法」S10 「民間伝承論」S8
この記事へのコメント
「天体力学のカテゴリーの流星観測の準備」が、2025年まで、私の
正月に、大まかにはなったという事実/史実は、その典型と言うところ。
年中行事が消えていくことを寂しく感じます。
NICEです
早いですね。歳を重ねる毎にそう感じます。
今日も来ましたよ♪
年末の光景も変わってしまいましたね。
ちゃんとコメントしませんが、確定申告と戦っています。
コンビニの影響は大きいですね。
お正月前は今より忙しく、お正月中はとても静かだったことを思い出しました。
税務署の確定申告相談会は、スマホでの申告の相談会のように感じました。来年は、早くから準備して、税理士会主催の無料確定申告相談会に行こうかと考えています。どんなものなのかよくわからないのですが。
nice!の押し逃げで申し訳ないですが!!。