「笑って、泣いて、考えて 永六輔のつきない話」さだまさし 小学館 2016年 ② /「一人恐怖に強迫される若者たち-彼らは,ケータイを介して常時接続しあい,互いの存在を確認しあっている」 土井隆義 筑波大学大学院人文社会科学研究科教授 『月刊少年育成』 2009.2 ④(最終)【再掲載 2016.7】

今日は5月21日、水曜日です。

今回は、5月18日に続いて、さだまさしさんの
「笑って、泣いて、考えて。永六輔のつきない話」の紹介 2回目です。



出版社の案内には、


「笑ってください。泣いてください。でも、少しだけ何かを考えてみ
 てください。永六輔の背中を追い続けているという『さだ』が数々
 の偉業の裏話を余すことなくお伝えいたします!」


「『最後の対談』で明かした仰天秘話と人生訓
 200万部超の大ベストセラー『大往生』をはじめ、テレビやラジオ、
 作詞など様々な分野で歴史的名作を遺した永六輔(享年83歳)。彼
 が晩年、病気を押して最後の対話相手に選んだのがさだまさしだっ
 た。
 時間を決めず『話し疲れるまで』という条件で続いた対話は、永六
 輔の好奇心、行動力、人間関係、仕事の秘密、ヒットの舞台裏、有
 名事件の真相など、本邦初公開のエピソードが盛り沢山!」


とあります。




今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「総合アカデミア一期生にいずみたく、山口瞳、前田武彦」


・「リハビリは裏切らない」


・「おもしろいと思った人間にすぐに会いに行く」




もう一つ、再掲載になりますが、土井隆義さんの
「一人恐怖に強迫される若者たち」④を載せます。
『月刊少年育成』誌の廃刊により、こうした記事を読むことができなく
なったのは残念です。








☆「笑って、泣いて、考えて 永六輔のつきない話」さだまさし 小学館 2016年 ②

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◇対談1(2)

 マリリン・モンローとジョー・ディマジオ
ジョン・カッティング(ディズニープロ)のアシスタント
NHKラジオで映画吹き替えのオーディション
    - NHKラジオを聴く(帝国ホテル)


 浅沼稲次郎
    「わんわん物語」ブルドッグの声


 黒柳徹子に「ごめんね」事件
  NHKラジオ「ヤン坊ニン坊トン坊」ラジオドラマの主役
カッティング オファーを出したがチェンジ
→ お詫びに赤いバッグ「ごめんね」


 三木鶏郎のところにいたから
「日曜娯楽版」にコント投書 
   → 「冗談工房」のスタッフに誘い


 野坂昭如が経理専務
  - 使い込みで会社が傾いた               
→ 交替 早稲田露文の松延君(五木寛之)


 早稲田という不思議な磁場
早稲田大学
     俳句研究会 - 大橋巨泉  
     短歌研究会 - 寺山修司
落語研究会 - 小沢昭一  
     ピアノコンサート  - 中村八大(早大文)
ジョージ川口のビッグフォー


 中村八大に会うなり部屋に連れ込まれ
作詞に引き込まれ10曲
     そのうちの一曲が「黒い花びら」


 映画の検尺の係は大変
冗談工房の前に黛寿郎、芥川也寸志、団伊玖麻と仕事
   「三人の会」 映画音楽 ヴィオラで検尺


 石井好子への一宿一飯の恩義 
石井好子パリ祭の司会
     政治家・石井光次郎の二女


 トラックの運転手だったいずみたく
三木鶏郎事務所の前にキスミー化粧品 
   アコーディオン「うたごえ運動」
いずみたく(トラック運転手)
     → 三木鶏郎に紹介
総合アカデミア一期生にいずみたく、山口瞳、前田武彦


 人と人とのターミナル
ハロルド坂田(プロレスラー、プロモーター)の奥さんが檀家
→ 力道山と知り合う
→ ミスター珍、ユセフ・トルコ 体をこわした人とテレビに


 対談後記2
ワインを贈ったら届いたはがき
淀川長治
「僕は悲しいことも苦しいことも辛いこともたくさん経験して
     これまで生きてきましたが、生まれてきてよかったと思って
     います。母に生んでもらってよかった。誕生日は自分を祝う
     のではなく、生んでくれた母を想って過ごす日だと決めてい
     ます。」


「わけ分からない病気だけどリハビリは頑張っている」(永)
永六輔はなぜ飽きっぽい?
1974年 中年御三家 各地でコンサート 武道館が満員に


「後はお前やっておけ」
尺貫法事件  「米穀通帳」  ゆめ風基金


 東日本大震災後に立ち上げたプロジェクト
「夢であいましょう」
     プロデューサー末盛憲彦さん 末盛千枝子さん
盛岡でプロジェクト 「すえもりブックス」
「3.11 絵本プロジェクトいわて」
      ~ 日本中から預かった


 上京するエネルギーが理解できない


 皆が空腹だったから名番組が生まれた


 「今日の自分」を見定めるのに時間が掛かる
    パーキンソン病 
     会話はリハビリになる
パーキンソン病
長嶋茂雄 色紙「リハビリは裏切らない」


 永六輔のバトンはまだ渡せない
おもしろいと思った人間にすぐに会いに行く
    ~ 小沢昭一






☆「一人恐怖に強迫される若者たち-彼らは,ケータイを介して常時接続しあい,互いの存在を確認しあっている」 土井隆義 筑波大学大学院人文社会科学研究科教授 『月刊少年育成』 2009.2 ④(最終)【再掲載 2016.7】

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4.不気味な自分と出会うとき


 今日の若者たちのあいだでは、一人恐怖から逃れようとして多用され
るケータイが、かえって一人恐怖を募らせるという皮肉な事態が生まれ
ている。


 自己肯定感の基盤の脆弱化にともなう不安を手っ取りばやく解消しよ
うとして、同質的な人間関係だけで固まってしまいがちになっているか
らである。


 その傾向にあらがい、人問関係を異質な他者へと広げていく手段とし
てではなく、むしろその人間関係の狭小化をさらに促進する手段として、
ケータイを用いる傾向が現状では強いからである。


 私たちは、相互に異なった人間関係を多元的にもつことで、複数の視
点から自分自身を相対視できるようになる。


 その結果、特定の関係だけに極端に依存しなくてもすむようになる。



 一人恐怖から解放されるためには、じつは異質な他者とも繋がらなけ
ればならないのである。


 普遍的な正当性をもった唯一絶対の価値基準を、すなわち超越的で抽
象的な他者をもはや内在化できない現代人にとっては、対等だけれども
多様な人間どうしの人的ネットワークを複合的に形成し、その多元的な
網の目のなかに自分肯定の基盤を見つけていくしかない。



 秋葉原で事件を起こした青年は、中学時代の成績は学年で首位を争う
ほど優秀で、ソフトテニスで活躍するスポーツマンでもあったという。


「中学時代までは幸せだった」と語るその彼に、「負けっぱなしの人生」
が訪れるのは高校入学後のことである。


 彼は、この多様性の時代にありながら、じつはその価値観は非常に狭
いものだった。


 同質的な人間間係のなかだけで生きていたからである。


 だから、エリート・コースを歩んでいた人生につまずき、自己の内部
の異質な自分と出会ってしまったとき、その不気味な自分と正面から向
き合うことができなかった。



 そんな自分を支えてくれる人間が、彼の周囲にはどこにも見当たらな
かったのである。



 いつも同質的な仲間だけと固まって付き合っていると、いざ自分が、
自分でも受け容れ
がたい存在になってしまったとき、その自分は、仲間の視線からも受け
容れがたい存在とみなされ、圏外化の対象とされてしまう。


 だから、相談相手はどこにも見当たらなくなってしまう。


 自分自身が変貌してしまう可能性が残されている以上、同質的な人間
関係だけをいくら増やしてみたところで、それだけでは、いざという時
のセーフティ・ネットにはならない。


 そして、私たちは、他者から受け容れられているという実感がないと、
他者の視点から自分を相対化して眺めることも難しくなってしまう。


 異質な他者に対する不寛容な態度は、いざ自分自身が異質な存在へと
変質してしまったとき、その自分に対する不寛容さを生み出してしまう
のである。



 この青年だけに限ったことではない。たとえ誰であろうと、艮い人生
のなかで、いくどかはつまずきを経験するものである。


 不気味で異質な自分は、多かれ少なかれ誰のなかにも潜んでいる。


 私たちは、自らの内部に圏外をあわせもっているのである。


 日常の人間関係のなかで、いくら異質な他者を圏外化しようと、この
内なる異質性からは逃れることができない。


 だとしたら、異質なものを圏外へと追いやるのではなく、むしろその
異質さといかに折り合いをつけて生きていくのか、その知恵が問われる
ことになる。


 あるスクール・カウンセラーによれば、秋葉原の事件が起きてから、

「自分も被害者になってみたい」

と語る若者たちが目につくようになったという。


 どこまで実感のこもった言葉なのかは定かでないが、無差別殺人の被
害者に少なくとも憧れを抱いてしまうのは、外部からやってきた災いの
被害者ならば、究極の自己承認を仲間内で得られるのではないかと感じ
ているからだろう。


 そして、一人恐怖からも完全に逃れられるのではないかと思っている
からだろう。


 だから、彼らは、被害者になりたいと訴える一方で、しかし仲間内で
は誰も傷つけたくないし、誰からも傷つけられたくないと訴えるのであ
る。


 閉じられた世界を生きているために、そこにしか自己承認の場を見つ
けられなくなっているのである。



 現在のようなネット環境が存在しなかった時代を生きた人びとは、避
けたくても避けようのない不都合な人間、向こうから追ってくる異質な
人間との付き合いを通して、じつは不気味な自分、異質な自分との付き
合い方も、否応なく学ばされてきたのではないだろうか。


 では、これほどまでにネット環境が普及し、あえて不都合で異質な他
者とは出会わなくても生きていけるようになった便利な社会で、いった
い私たち大人は、どうやって異質な他者と出会う機会を、いまの若者た
ちに確保してやればよいのだろうか。


 異質な人びとと否応なく出会わざるをえなかった時代とは追って、い
まは意図的にでもその方策を考えていかなければならない社会になって
いる。


 その方策は、即効性のあるものではないかもしれない。


 しかし、その方策こそが、一人恐怖に対する強迫観念から若者たちを
救出し、ひいては過剰な関係依存に由来する生きづらさから彼らを解放
する礎ともなりうるのではないだろうか。
        『月刊少年育成』2009年2月号

この記事へのコメント

2025年05月21日 06:18
nice!です。「黒い花びら」は永六輔作詞だったんでね。私
は知らなかった。だから西暦2086年程度まで、著作権が
継続する訳ですね。
2025年05月21日 07:41
拝見。蒸しています今朝は。
2025年05月21日 09:05
広い価値観を持つ、なかには否定的なものもあるかもしれませんが大切だと思います。
それには社会に触れる、人と会う・話す、やってみることが重要かと。
2025年05月21日 10:03
Nice!
2025年05月21日 16:47
ご訪問しました。
2025年05月21日 17:35
Niceです。
2025年05月21日 18:07
ナイス!
2025年05月21日 19:59
秋葉原の事件
そんな犯人の背景があったのですね。
ハマコウ
2025年05月21日 20:43
長さんさん niceをありがとうございます。
作詞家の無駄を省いた詞や難しい言葉をつかわない詞が好きです。
永さん、青島さんが特に好きでした。
ハマコウ
2025年05月21日 20:45
夏炉冬扇さん ありがとうございます。
早朝、ハウスの苗床から甘藷苗を70本切りました。薄日が差すぐらいでしたが、汗をたっぷりかいてしまい、ふらふらとしてしまいました。
2025年05月21日 20:46
「自分も被害者になってみたい」とは・・・
ちょっと理解しがたいですね。
どこまで本音なのでしょう(>_<)
ハマコウ
2025年05月21日 20:46
川崎工場長さん ありがとうございます。
つながろうとする気持ちは大切にしたいですね。できれば、考えの違う人とも。
ハマコウ
2025年05月21日 20:47
ma2ma2さん Niceをありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月21日 20:48
とし@黒猫さん NICEをありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月21日 20:49
arashiさん 来訪ありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月21日 20:49
kenさん Niceをありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月21日 20:56
Mitchさん ナイスをありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月21日 20:58
八犬伝さん ありがとうございます。
わたしもこの記事で知りました。詳しい情報に接する機会は少ないのですね。
もーもー
2025年05月21日 21:52
喜怒哀楽、感情は、我慢せず
しっかり、表に出して、スッキリした方が
身体にも、心にも、良い事です!
2025年05月21日 21:55
こんにちは。
「ワインを贈ったら届いたはがき」の淀川長治の言葉・文、素敵ですね!?(=^・ェ・^=) 
2025年05月21日 22:32
(# ̄  ̄)σ・・・Nice‼です♪
2025年05月21日 23:11
お邪魔しました
2025年05月22日 00:54
社会と何らかの形で繋がりたいとみんな思っているのでは
ハマコウ
2025年05月22日 13:56
もーもーさん ありがとうございます。
がまんしてため込んではいけませんね。
ハマコウ
2025年05月22日 13:58
Boss365さん ありがとうございます
大切なことを教わるような気がします。 
ハマコウ
2025年05月22日 13:59
てんてんさん Niceをありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月22日 13:59
くまらさん 来訪ありがとうございます。
ハマコウ
2025年05月22日 14:01
mauさん ありがとうございます
思うようにつながれないのは苦しいですね。